第五十八回紀念祭寮歌 《 青旗の 》 橋本 攻・作詞 青旗の小旗にゆれて あらゝぎに瑞しき光 春甘美き五十八年よ 祭り火は今し燈りて 夕月夜丘に燎ゆれば 故知らね涙あふるゝ 二、 杳かなる沈淪の國に 遠つ神人とのらして 狂火の繪巻果つれど 逝きし伴天歸りこぬ ふる里の丘を嘆きて 虹のごと燿ふらむか 三、 玉杯の悪しき濁り世 哀れはた何に恨みむ ボヘミヤの民ならなくて 父のみの日の本つ國 荒磯ゆく任をし呼ひ 柏葉に光榮あらしめ 四、 滓づきし古びの苑生 平らぎの精は生れて 豊けくも萌る小草や 花はらゝ夢を語れば 自治守の鐘鳴出でて 眞實は甦がへるもの 五、 山いゆき海に失ける 夭人の羨しきかなや 凋落にまなこ塞ぎて 群騒を射つる清けさ 人世なる寂しき道を 然すがに遍歴ゆかな 六、 衰ろへは忍び迫りぬ 骨々の悲しきたぎり 響へど唯に舞ひてむ さゆらげる篝赤けば 向陵に今宵は醉ひて 青春のいのち華咲け (昭和二十二年) |