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第四十六回紀念祭寮歌 《 春や朧の

鈴木 弘二・作詞
太野垣 雅久・作曲

一、
春や朧の夕まぐれ 芙蓉山下さんかに草あを
ほつえの梅のさそひ香に 丘は變れど變りなき
しずく欄干おばしまに 又めぐり来るうたげかな

二、
凡百ぼんぴゃくの世を遠く去り 昴宿すばるに誇るあらゝぎ
傳統つたへ法火ともし守り移し いしずゑ置きし自治の城
罪よ偽善よゆるさじと 新城守にひしろもりの誇あり

三、
吾が歎息なげかひを人知るや 世紀の懊悩なやみ響動とよもせば
無憂樹あそか常蔭とかげ求むれど 秘密のとざし解けずして
若きが故に眞摯まことなる 憂はしじに盡き難し

四、
あてに匂へど花薔薇そうび 秘むる毒刺どくしの鋭けれ
あゝ僞りの汚世にひとり 柏の蔭の逍遥に
生命の友を探ね得て 常若とこわかの子になんだあり

五、
もろきは花と若さにて 運命さだめの前にかこつとき
奇しき丘邊の邂逅めぐらひに 友の情にむせびては
流転るてんの波は狂へども 我戰はん我勝たん

六、
春訪れて四十六 祖國の岸に浪騒ぎ
丘の創業重ければ 今 月映つくばえ の良夜あたらよ
びし酒甕もたひれる時 無限のおもひ胸に燃ゆ

             (昭和十一年)

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